先日仕事で、とある工場にシステムチェックに行った。
県内でもトップクラスの規模を誇るその工場は、
厳重な警備体制で人の出入りを監視している。
海に面している為、国外からの不法侵入を防ぐ意味もあるのだろう。
そのため、その工場専用のIDカードがあり、
乗り入れる車両も、会社の社有車を登録してある。
その工場に入るのは数ヶ月ぶりだ。
入場するとき、IDカードと車両登録カードを、門番の方に向けて見せる。
この瞬間、ちょっと緊張する。
悪いことをしているわけでもないのに。
門番の方は、こちらに行って良いと合図をくれる。
無事通過だ。
僕は、当然のことなのだが、
何故かホッとしながら、車両を中へと移動させるのだった。
一通り作業を終えた後、荷物を整理し、車へと戻る。
あとは帰るだけだ。
キーをまわし、エンジンをかけ、
また、工場の入場ゲートへと向かう。
しばらく走ると、ゲートが見えてきた。
よしよし、、、またIDカードを・・・
・・いや、ちょっと待てよ?
この工場、出るときは、IDカードを見せるのではなく、
門番に対して合図を送るんだったな、そういえば。
あれ?
合図ってなんだ?
どんな合図だ?
何か、手で仕草をするような記憶がある。
しかし、それが何だったか思い出せない。
その間にも、車はゲートへと近づく。
やばい、このままじゃ止められる。。
なんだ・・・なんだっけ。。
そうだ!これだ!
思い出したとき、ちょうどゲートへとさしかかった。
僕は満面の笑みと共に、親指を立て、それを門番に見せた。
さながら、あのAAのように。
門番は、そんな僕をいぶかしげに見つめたあと、
OKマークを手で作った。
それを見て、全てを思い出した僕は、
作った笑顔を引きつらせながら、ゆっくりと車を発進させたのだった。
課長ごめん。
あの工場から怒られたらそれは僕が原因です。